こんにちは
介護老人保健施設 華 施設長・藤井病院 医師の宗です
今回は、遺伝性難病である、「常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)」について、お話しいたします
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)とは、主に腎臓に嚢胞(のうほう)という水分がたまった小さな袋が沢山できて大きくなり、腎機能が徐々に低下していく病気です
遺伝性腎疾患のなかでも最も多く、日本国内での推定患者数は約31,000人といわれています
腎機能の低下が進行すると人工透析か腎移植が必要となりますが、なんと、ADPKDは日本における人工透析導入の原因疾患としては糖尿病性腎症・慢性糸球体腎炎・腎硬化症についで第4位を占めているのです
これまで根本的な治療方法はありませんでしたが、治療薬の開発と認可により、この泉州地域において私たち良秀会のグループ内病院でも治療を受けていただけるようになりました
ADPKDは遺伝による病気
先述の通り、この病気は遺伝性であります
常染色体優性遺伝といって、変異遺伝子が親から子に50%の確率で伝わります
(あくまでも確率なので、全ての子供に遺伝するケースもあれば、そうでない場合もあります)
ご家族の方の既往歴や病状を把握しておくことが、診断のための重要な要素の1つなのです
その他の診断基準としては画像診断が挙げられますが、腹部超音波検査が最も広く用いられています
治療方法は?
多発性嚢胞腎に対する治療薬としては、日本国内において2014年3月末に初めて、トルバプタン(製品名:サムスカ)が認可されました
腎容積の増加と腎機能低下を抑制する効果があります
しかしこのお薬は、すべての多発性嚢胞腎の患者さんに適応があるわけではありません
難病指定の基準により、腎臓の容積が750ml以上・かつ1年間の腎容積増大率が5%以上の患者さんが適応であり、更に副作用にも注意が必要です
そのため、このお薬はどこの病院でも処方できるといったお薬ではなく、指定を受けた医療機関でその資格を持った医師のみが処方できます
ADPKD(常染色体優性多発性嚢胞腎)治療を受けられる施設 | 専門医のいる施設 | ADPKD.JP 〜多発性嚢胞腎についてよくわかるサイト〜 | 大塚製薬
お薬代だけで月におよそ100万円かかってしまうような非常に高額なお薬ですが、難病指定の認可を受けていることで保険適応となります
ご家族の方に既往歴があるなど、気になることがございましたらぜひ1度担当医までご相談ください
藤井病院 大阪府岸和田市西之内町3-1 TEL(072)436-2201
高石藤井病院 大阪府高石市綾園1-14-15 TEL(072)262-5335
津久野藤井クリニック 大阪府堺市西区神野町3-2-28 TEL(072)272-1361