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ある日の腹膜透析診察室の光景から

こんにちは

藤井病院 副院長の射手矢です

 

今回は、腹膜透析について、ある患者様とのエピソードを交えてお話しいたします

 

持病の腎臓病が悪化

 ある日、某病院から田中さん(仮名)が紹介されてきました

田中さんは定年退職後、悠々自適の生活を送っていましたが80歳を過ぎてから持病の腎臓病が次第に悪化し重症の慢性腎不全になってしまったんです

 

自宅で透析ができる?

 息子さん夫婦と一緒にやって来た田中さんに腹膜透析担当スタッフが2種類の透析方法(一般的な血液透析と腹膜透析)について説明しています

腹膜透析の説明をしていると田中さんが言いました

「家で自分で透析するなんて、そんなややこしこと、出来るんかいな?」

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腹膜透析とは

 心優しきチャーミングな当院スタッフが言葉を続けます

2㎏の袋を持ち上げる力があって会話を普通にできる人なら誰でも出来ること、ゆっくり行う透析なので体がラクであること、経過が安定すれば月1回程度の通院で済むこと、今まで必要だった食事制限が大幅に緩和されること、そしてその代わりに欠点として、1日2回から4回の液交換が必要で1回30分ぐらいかかること(最近は寝ている間に終わらせるやり方もあります)、以前に比べ大幅に減っていますが腹膜感染のリスクがあること、透析効率が悪いので若い人には向かないケースもあることなどを説明していました

 

ご家族と相談を

 最後に腹膜劣化により10年ぐらいで一般的な血液透析に移行する必要があることを告げましたら、「結局、ずっとは続けられないんだね? それはちょっとなぁ・・・」

ここで初めて私が声をかけました

「腹膜透析はご自身にとってはラクな透析ですし遠い先の話ですから、その時に改めて考えるのでいいと思います

ただ、ご家族の負担が少し増えるので家で相談して結論を出してくれればいいですヨ」

 

遠い先の話…

 私は田中さんの肩越しに息子さん夫婦に無言で語りかけていました

10年先のことより今を考えましょう、人生の晩秋期に入っているお父さんが今後、家族とともに過ごす時間を考えてから結論を出しませんか、と

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